SCOLIOSIS側弯症とは?
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- 側弯症とは?
女児の約50人に1人、男児の約500人に1人は側弯症です
側弯症は神経や筋肉の障害が原因で起こる場合もありますが、最も頻度が高いのが10歳以降に発症・進行する「思春期特発性側弯症」です。原因は不明で女児に多いのが特徴です。13- 14歳の女児での側弯症の有病率は2.51%であると報告されています(1)

背骨がねじれてゆがむ疾患です
側弯症とは背骨がねじれるように曲がる疾患で、軽症では自覚症状に乏しいため、第三者が見つけることが重要です。しかしながら、手術しか選択肢がないほど重症化してから発見される場合があります。重症化した場合、腰背部の痛みや重篤な呼吸障害などが生じるため、早期発見・早期治療が大切です。また外見の変化から対人関係に前向きになれないなど、精神的ストレスを引き起こす場合もあります。

側弯症の治療法は程度(コブ角)や年齢で異なります
- 思春期特発性側弯症は、身長が伸びる時期に側弯が進み、体の発育や成長が止まるまで進行し続ける傾向があります。側弯症の程度はコブ角(上下で最も傾いている背骨どうしのなす角度)によって決められます。側弯症の治療法はコブ角や年齢によって異なりますが、変形が重度になると手術しか治療法がありません。側弯症手術の安全性は向上していますが、運動の制限等、日常生活に戻るまで3ヶ月以上かかるといわれています。また手術で固定していない部分が曲がり、再手術が必要になる場合もあります。
側弯症装具治療の有効性が報告されています
2013年 The New England Journal of Medicineにおいて、側弯症の装具治療の有効性に関する報告がありました(2)。
2007- 2011年にアメリカとカナダにて実施されたこの多施設共同研究によれば、思春期特発性側弯症患者が1日のうち18時間以上装具を付けた場合、治療が成功した患者の割合が75%と、経過観察のみの患者(42%)に比べ有意に高く、装具治療は手術が必要な角度まで側弯が進行することを抑制しました。
※本研究における治療成功の定義は、成長が止まり骨の成熟した段階で、コブ角の進行が50度に達しなかった場合です。
側弯症は世界共通の疾患です
側弯症は地域差や人種差がなく、世界共通の疾患といわれています。側弯症の多くが学童期・思春期に発症し、時に重症化することから、日本では側弯症の学校検診が義務化されています。また、現時点で日本を加え19ヶ国で側弯症学校検診の実施が報告されています(3)。米国では全米50州全てで側弯症学校検診が実施されており、また中国では、子どもの3大疾病の1つとして、2020年に学校健診に側弯症が組み込まれることが発表されています。

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- 監修:
- 松本 守雄
- 所属:
- 慶應義塾大学 整形外科学教室教授
思春期特発性側弯症は、必要であれば適切な時期に装具治療を行うことで側弯の進行を防げる可能性があり、早期発見・早期治療が大切です。
- 引用:
- (1) Masaki U.; Masashi T.; Toshiyuki N. et al. A 5-year epidemiological study on the prevalence rate of idiopathic scoliosis in Tokyo: school screening of more than 250,000 children. J Orthop Sci. 2011, vol.16, p. 1- 6
- (2) Stuart, L. W.; Lori, A. D.; James G. W. et al., Effects of Bracing in Adolescents with Idiopathic Scoliosis. N. Engl. J. Med. 2013, vol. 369 (16) , p. 1512- 1521
- (3) 黒木 浩史, 田島 直也. 側弯症学校検診の世界的動向に関する文献的考察. J. Spine Res. 2020, vol. 11, p. 1260- 1264
- (4) Côté, P.; Kreitz, B. G.; Martel, J. et al. A Study of the Diagnostic Accuracy and Reliability of the Scoliometer and Adam's Forward Bend Test. Spine. 1998 , vol.23, p. 796- 802
- (5) Theofilos K.; John S.; Konstantinos N et al. Ten-year follow-up evaluation of a school screening program for scoliosis. Is the forward-bending test an accurate diagnostic criterion for the screening of scoliosis? 1999, vol. 24 (22), p. 2318- 2324